2024/09/17
はじめに
慢性疲労症候群(CFS)
原因不明の激しい疲労感が長期間持続し、日常生活に支障をきたす難治性の病気です。この症候群は、単なる疲れとは異なり、十分な休息を取っても回復しない特徴があります。本日は、CFSの症状、原因、診断基準、治療法などについて、詳しく解説していきます。
症状
疲労
CFSの最も重要な症状は、強い疲労感です。この疲労は、通常の疲れとは異なり、十分な休息を取っても改善しません。患者は、日常生活で最小限の活動しかできなくなり、寝ているだけの状態になることもあります。
疲労の程度は、患者によって異なります。軽症の場合は、日常生活に支障はあるものの、仕事や学業を続けられる場合もあります。しかし、重症の場合は、ほとんどの活動ができなくなり、寝たきりの状態になることもあります。
認知機能障害
CFSでは、集中力や記憶力の低下、思考力の障害など、認知機能の障害が見られることがあります。これらの症状は、患者の日常生活や仕事、学業に大きな影響を与えます。
認知機能障害の程度も、患者によって異なります。軽症の場合は、少し忘れっぽくなったり、集中力が低下したりする程度かもしれません。しかし、重症の場合は、簡単な計算すらできなくなったり、短期記憶がほとんど機能しなくなったりすることもあります。
睡眠障害
CFSでは、睡眠の質が低下したり、不眠症状が出たりすることがあります。十分な睡眠を取っても、翌朝は疲労感が残っていたり、1日中眠気が続いたりします。
睡眠障害は、CFSの症状を悪化させる要因の1つと考えられています。不眠が続くと、疲労がさらに蓄積し、認知機能障害も深刻化してしまいます。そのため、睡眠の質を改善することが、CFSの症状管理に重要とされています。
原因
CFSの原因は、まだ完全には解明されていませんが、様々な要因が関係していると考えられています。
ウイルス感染
CFSの発症には、ウイルス感染が関係していると考えられています。実際、CFSの患者の一部は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染の後に症状が出始めています。
ウイルス感染が引き金となり、免疫系や自律神経系などの機能が乱れ、CFSの症状が引き起こされるのではないかと推測されています。しかし、ウイルス感染だけがCFSの原因ではありません。
免疫異常
CFSの患者では、免疫系の異常が見られることがあります。具体的には、サイトカインなどの免疫物質のバランスが崩れたり、免疫細胞の機能が低下したりしています。
免疫異常が、CFSの症状の発症や持続に関与していると考えられています。しかし、免疫異常がCFSの原因なのか、結果なのかは明らかではありません。
ストレス
ストレスも、CFSの発症に関係していると指摘されています。過剰なストレスが、免疫系や自律神経系のバランスを崩し、CFSの症状を引き起こす可能性があります。
実際、CFSの患者の中には、精神的・身体的ストレスが高かった人が多いことが報告されています。ストレス管理が重要視される理由の1つです。
神経系の伝達不全
筋肉の緊張、身体のアンバランスの要因である慢性疲労、悪い姿勢などで神経系が圧迫され、身体に歪みが発症し悪循環になります。
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診断基準
CFSには、確立された診断方法がありません。そのため、症状の確認と他の疾患の除外により、総合的に診断が行われます。
中核症状
CFSの診断には、以下の3つの中核症状が必須とされています。
- 6カ月以上にわたる新たな疲労感、休養でも容易に回復しない疲労
- 労作後の過剰な疲労感
- 睡眠でも疲労が回復しない
これらの症状があり、かつ他の疾患が除外できれば、CFSの可能性が高くなります。
追加症状
中核症状に加えて、以下の追加症状があると、CFSの可能性がさらに高まります。
- 健忘や集中力の低下など認知機能障害
- 筋肉痛や関節痛
- 頭痛
- tender pointsと呼ばれる痛みを伴う筋肉の部位
- 睡眠障害
これらの症状は、CFSに特異的なものではありませんが、複数の症状が重なっていれば、CFSを強く疑う根拠となります。
除外すべき疾患
CFSの診断を確定するためには、以下のような疾患を除外する必要があります。
- 内分泌疾患(甲状腺機能障害など)
- 自己免疫疾患(関節リウマチなど)
- 神経疾患(多発性硬化症など)
- 精神疾患(うつ病など)
- 睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)
これらの疾患が原因で疲労感が出ている可能性を除外し、CFSの特徴的な症状パターンを確認することが大切です。
治療法
CFSの根本的な治療法は、まだ確立されていません。しかし、対症療法や生活習慣の改善などにより、症状の緩和を図ることができます。
漢方薬
CFSの治療には、様々な漢方薬が使用されています。代表的な漢方薬とその効能は以下の通りです。
漢方薬 | 効能 |
---|---|
四物湯 | 血を補い、疲労や虚弱に効果的 |
加味帰脾湯 | 不眠や抑うつ気分、消化不良に効果的 |
十全大補湯 | 気血を補い、消耗に効果的 |
人参養栄湯 | 十全大補湯でも不十分な場合に用いられる |
これらの漢方薬は、CFSの様々な症状に対して効果があるとされています。患者の症状に合わせて、適切な漢方薬が選択されます。
栄養療法
CFSの治療では、栄養療法も行われています。代表的な栄養補給として以下のようなものがあります。
- ビタミンB群の補給
- ビタミンCの補給
- クエン酸や酢酸の補給
- イミダゾールペプチドの摂取
これらの栄養素は、免疫機能の向上や抗酸化作用、エネルギー産生の促進などの効果が期待されています。CFSの患者では、これらの栄養素が不足しがちなため、積極的な補給が行われます。
生活習慣の改善
CFSの症状は、生活習慣の乱れによって悪化することがあります。そのため、生活習慣を改善することが重要とされています。
- 規則正しい生活リズム
- 適度な運動
- ストレス管理
- 十分な睡眠
これらを心がけることで、心身のバランスを整え、CFSの症状を和らげることができます。生活習慣の改善は、薬物療法と併せて行われることが多いです。
まとめ
慢性疲労症候群(CFS)は、原因不明の難治性の病気です。強い疲労感を主症状とし、様々な認知機能障害や睡眠障害、身体症状を伴います。CFSの原因は完全には解明されていませんが、ウイルス感染、免疫異常、ストレスなどが関係していると考えられています。
診断には、中核症状と追加症状の確認、他の疾患の除外が必要です。治療法としては、漢方薬や栄養療法、生活習慣の改善などが行われます。CFSの根本原因の解明と、よりよい治療法の確立が望まれています。
よくある質問
CFSの主な症状は何ですか?
CFSの主な症状は、強い疲労感、認知機能障害、睡眠障害など、多岐にわたります。疲労感は十分な休息を取っても改善せず、日常生活に支障をきたします。認知機能障害では集中力や記憶力の低下が見られ、睡眠障害も特徴的です。
CFSの原因は何ですか?
CFSの原因は完全には解明されていませんが、ウイルス感染、免疫異常、ストレスなどが関係していると考えられています。ウイルス感染が引き金となり、免疫系や自律神経系の機能が乱れることで症状が引き起こされるのではないかと推測されています。
CFSの診断基準はどのようなものですか?
CFSの診断には、6カ月以上にわたる新たな疲労感、労作後の過剰な疲労感、睡眠でも疲労が回復しないなどの中核症状が必須とされています。さらに、認知機能障害や睡眠障害などの追加症状も確認され、他の疾患が除外できれば、CFSの可能性が高くなります。
CFSの治療法はどのようなものですか?
CFSの根本的な治療法はまだ確立されていませんが、症状の緩和を目的とした対症療法が行われています。漢方薬や栄養療法、生活習慣の改善などが代表的で、患者の症状に合わせて適切な治療法が選択されます。また、薬物療法と並行して生活習慣の改善にも取り組むことが重要とされています。
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